mardi, août 10, 2004

       

nukes and beaches

 別に原発での死傷事故のことについて、一言物さんというわけではない。痛ましい最悪の結果であったが、今回思い出したのは、申し訳なかったがそのことについてではなかった。
 美浜原電(道路の行き先表示などでは、「原発」ではなく「原電」という表現をする)の見える海水浴場を過ぎさらに北上すると、大きなトンネルを抜けたところに、小さな漁村と砂浜がある。そこからも望める原電は、一時期ニュースにもよく出てきたあの高速増殖炉のあるところである。白木の浜は、100メートルもなかったかもしれない。浜の片側は漁港になっている。原電のあるほうの側は小さな磯になっていて、そこで砂浜は途切れている。混雑する海水浴場を避けて、海にゆったり触れたいがために、半島のもっとも奥にあるこの浜を幾度も目指したものだった。

 ともに訪れた友人たちとも休暇の日程がうまく合わず、若狭地方を中心としたあのへんの鄙びた海岸へは、近年はあまり出かけなくなってしまった。若狭の浜は、たいてい山が海と接近しているので、夏の山林の良い香りと磯の香りとが同時にたのしめる。しかも比較的遠浅の海岸が多く、小さな無名の浜なら閑散としており、ゆったりと過ごせる。着いてから帰るまでの間、われわれの他に、誰も来なかったということさえあった。

 原電の無機的な姿と美しい浜辺を、こうしてありありと思い浮かべることができる。福井県への旅行を取りやめる人が多く、宿泊施設などが打撃を受けているとのことだが、自分には、原発での事故などがかの地の魅力を減ずるというようなことは、考えられない。こうして行きたがっているのに。

 

0 Comments:

Enregistrer un commentaire

<< Home