外猫日記
mardi, juillet 22, 2008
mardi, septembre 04, 2007
どんな眼差しも無効である。
市バスを乗り換えて、休みの日には彼は彼女に会いに行っていた。京都駅がまだ建て替えられる前のこと。市バスの冷房はいつも九月になると効き過ぎていたので、夜の帰りのバスではいつもTシャツいっちょうでは寒かったのだった。
思い出などとはいえないような代物に、彼はバスの一番後ろのシートで欠伸をするのである。京都の倦怠を知っているか。京都では、どんな眼差しも無効である。
Libellés : 京都駅
lundi, novembre 21, 2005
駅の西
その駅の改札のある跨線橋の階段を下ると、バス溜まりの小さなロータリーがあった。そのロータリーの向こうには延々と続く鉄板の塀があり、柵の隙間からはマンションの建設を待つ荒涼とした地面が覗いていた。パチンコ屋の音楽が漏れ聞こえ、北風がいよいよ強い。ここへ来たのは今夜がはじめてであった彼女は、それにもかかわらず自然と駅の西へ延びる道を歩き始めた。あちらのほうへ行くと、どうしても会わねばならぬ男のアパートがある。その二階の窓には一灯だけの電球が灯っているのが見え、暗い荒地だらけの丘に、風に耐えて彼女を呼んでいるはずだったのだ。