samedi, mai 21, 2005

       

夜を去る渡河

 東の空が白んできて、刷毛でそっと引いたような細長い雲にも、淡い紅色が さしてきた。これから長い橋を渡れば、本来眠るべき小さな部屋のある町である。しかし、その橋はまだ夜の景色だった。オレンジ色の明かりが点々と続いてい る。うなりをあげて大型トラックが渡っていく。小さなため息をつくと、目の前に小さな霧が広がった。

 いったいこんなところで、何をしているのか、お前は。

 その声は、まだ夜の残る辺りの草むらから聞こえてくる。そうだよ、もうぼくは帰るんだよ。そうつぶやいて、少年は橋を渡り始めた。明けゆく東側の岸を目指して。

 

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