mardi, octobre 05, 2004

       

秋風リヴァー 3

 台車に乗せられた棺の上に、姉から送られた大きな百合の花束が置かれていた。そしてそのまま、棺は炉の中へ滑り込んでいった。ブザー音が短く響き、炉の内扉が閉まり、次いで外扉もゆっくりと閉じられた。斎場からバスでついてきた喪服の集団が、ガラス越しに炉の中に消えていく棺を見送っていた。
 火葬場の裏の土手に登り、煙突をさがした。しかし、近年建てられたその火葬場に、外から見えるような煙突もなければ、かつてのサンマイで見た、遺体を焼く煙などもちろん見ることはできなかった。骨上げまではまだ一時間ほどあったが、待合に戻って酒に酔った親戚の男どもの相手をする気にはならなかった。ぼくは川の見える土手の草の上に座り込んだ。風は冷たく、どこからか金木犀が香った。

 

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