dimanche, septembre 05, 2004

       

heavy rain

 いくらなんでも降りすぎでしょうと言って、彼は外のほうを見やりました。店の庇からどぼどぼと、雨だれというよりは滝のように流れ落ちる大量の水を見つめて、これ以上このひととはかかわりあいにはなりたくないと、あらためて思ったのでした。
 帰り道は川のようになった路地を行き、みるみる本革製の靴がまるで水を履いているみたいになってしまいました。この辺はわりと高台だからいくら降っても洪水にはならないとだれかが言っていたのを思い出しながら、なかばやけくそにばしゃばしゃと勢いよく歩いてみました。雷鳴も聞こえていたし、自分を打ちのめしながら歩くのには、よい舞台装置がそろっていきました。温かい水が、首筋から背中から流れ落ちていくのを感じていました。小さなビニル傘などもう役には立たず、ただ天に向かってささげ持っているだけのものでした。

 

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