mardi, août 03, 2004

       

しょうなんがおかにて

 バスは長い坂を登り、トンネルを抜け、ひな壇のような新興住宅地の中をひたひたと走った。やがて停車した停留所に、他に降りる客もなかった。そこから、開発されずに残った山林に沿って歩いて一分もしないで、そのモダンな家に着く。その家は別荘として建てられた洒落た造りで、二階にも玄関が設けられ、そこからあの広々としたリビングルームにすぐに入ることができた。
 湘南らしい明るい空が、大きな窓から望めた。彼はその家の人々から、表向きは歓待された。ある夏の休日をそのように過ごせたことは、孤独のうちにあった彼の生活を、明るく照らすことになるはずであった。しかし、彼の胸のうちに訪れたのは、深い沈黙の夜であった。

 

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